投打で若手が育ってきた証

 他球団の首脳陣は「ファームを見ても、巨人は能力の高い選手が多い」と漏らす。

「主力選手が長年稼働したチームは、彼らがいなくなると若返りをうまく図れず低迷するケースが珍しくない。中日は落合博満監督時代に活躍した井端弘和、荒木雅博、谷繁元信、森野将彦といった選手たちが抜けた後、若手の選手が各ポジションで一本立ちできずに低迷期が続きました。巨人が岡本、丸、坂本と主力を欠いた状態で優勝争いに踏みとどまっているのは、投打で若手が育っている証です」

 FA補強が必ずしも、戦力の底上げにつながるとは言えない。かつて、「FA補強の主役」だった巨人はその現実を一番理解している球団かもしれない。ただ、常勝を義務付けられているだけにリーグ連覇を逃すようだと戦力補強がいやでも注目される。育成と勝利を両立し、どのようなチーム作りを巨人は進めていくだろうか。

(今川秀悟)

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