
「秋広が巨人時代に本塁打を求められ、コンタクト能力が持ち味と考えていた自分のスタイルとズレが生じていたことは理解できます。でも、2ストライクに追い込まれるまではもっと振ってもいいのでは。チームの同じ左打者には、首位打者経験のある近藤健介、現在打率リーグトップの柳町達がいます。彼らはホームランバッターではないですが、パンチ力があり強振するので、相手バッテリーが神経を使う。秋広はフリー打撃では軽々とオーバーフェンスの打球を打っているのに、試合になると合わせるようなスイングが目立つのが、もったいなく感じます。巨人でも23年に2ケタ本塁打をマークしています。打率と長打の両方を追い求めてほしいですね」
身長2メートルの恵まれた体格を持つ秋広だが、長打力よりバットコントロールの巧みさを強みにしている。ただし、首位打者を争うような高打率で単打を積み重ねるならともかく、打率2割5分前後で長打が少ない打者になってしまっては、1軍定着が難しい。足が速いと言えず、外野の守備力も高いとは言えない。打撃で他の選手との違いを見せなければ、ソフトバンクのハイレベルな定位置争いには食い込めない。
スポーツ紙デスクはリチャード、秋広の今後についてこう話す。
「リチャードは球界屈指の飛距離が魅力ですが、確実性を欠き、打席でも迷いがあるのか集中しきれていません。秋広もレギュラーをつかむには物足りない。巨人もソフトバンクも選手層が厚い球団なので、2人に与えられるチャンスはそう多くないでしょう。細川成也(中日)、郡司裕也(日本ハム)のように伸び悩んでいた選手がトレードで環境を変えることで活躍するケースがありますが、決して多くはない。2人はこのまま共倒れに終わることもあり得ます」
4試合連続無失点登板の大江
リチャードと秋広の陰に隠れる形になったが、他球団の編成担当が「今回のトレードで最も活躍するかもしれない」と評価するのが変則左腕の大江だ。5月25日に1軍昇格後は、4試合連続無失点。巨人時代は2021年に47試合登板で13ホールドをマーク。昨年も16試合登板で5ホールド、防御率2.62で投球内容は決して悪くない。