雨に濡れた傘の先端、周囲の人にツンツン当たっていることに気がついている!? 画像はイメージ(PIXTA)
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気象庁は10日、関東甲信と北陸地方が「梅雨入りしたとみられる」と発表した。これから傘が手放せない時期になるが、「傘のトラブル」で多いのが電車の中。満員電車で他人の傘先がツンツンあたって嫌な思いをしたことはないだろうか? ジメジメしてただでさえ憂うつな季節ゆえ、傘先ツンツンが発端で乗客同士がケンカになることも。なぜ傘を持っている人は他人に当たっていることに気がつかないのか。実際の事例と専門家の見解を取材した。

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 そのトラブルは都営地下鉄大江戸線の中で起きた。

 午前9時過ぎ。身動きが取れないほどではないが混雑した車内で、座席に座るスーツ姿の男性(推定60代)の前に20代と見られる女性が立っていた。男性は不快そうな表情でチラチラと女性を見ていたが、どうやら女性の肘にかけた傘が、その男性のひざ下あたりにツンツン当たっているようだ。

 電車の揺れや女性が体を少し動かすたびに、ツン、ツン、ツン。そしてついに……。

「汚ねぇんだよ! 当たってんだよ!」 

 突然、男性の大きな声が響き渡った。水と打ったようにシーンとなる車内。しかし、傘先でツンツンしていた女性はイヤホンをしてスマホの動画に集中しており、男性の怒りには気づいていない。

 業を煮やした男性は、女性の傘先をどかすように傘を軽くつま先で蹴った。

 そこでやっと女性はスマホから顔を上げ、“え? 私!?”という表情。自分の傘先が男性にずっと当たっていたとは思っていなかったようで、むしろ“ヤバ!、この男”という顔をしながら、次に停車した駅で降りていった。その駅が女性の目的地だったかわからないが、傘ツンツンを謝ることなく、逃げるように去っていった……。

傘が長靴にブスッと刺さった人も

 もちろん、怒鳴った男性に対して「それほどのことか」という批判はあるかもしれない。ただ実際、電車内での傘の扱いにイライラしている人は多いようだ。取材を進めると、ツンツンどころか長靴に傘をズブッと突き刺された人もいた。

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