田中将大の代打として送り出された27人目の打者・中島俊哉に対しても、カウント1-2と追い込んだあと、4球目が外角低めギリギリに決まったかに見えた。
だが、良川昌美球審の右手は上がらない。5球目の高め直球もボール。そして、フルカウントから内角膝元への6球目は、高さ、コースとも微妙ながら、これまたボールとなり、完全試合ならず。「あれをストライクに取ってくれていたら」と嘆いたファンも多かった。くしくも杉内と同名の中島は、同郷(福岡県)で、同じ“松坂世代”でもあった。
気持ちを切らすことなく、次打者・聖澤諒をフルカウントから見逃し三振に打ち取り、交流戦史上2人目のノーヒットノーランを達成した杉内は、中島への最後の1球について、18年の現役引退時に「ボールですね。中島には(パ・リーグ時代)よく打たれていた。僕が逃げたんでしょうね」と振り返っている。
(文:久保田龍雄)
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