交流戦でもあと一人でノーノーを逃してしまった不運な男
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 プロ野球セ・パ交流戦もたけなわ。ふだんは対戦しないリーグの異なるチームが相手なだけに、ノーヒットノーランも2022年のDeNA・今永昇太(日本ハム戦)、昨年の広島・大瀬良大地(ロッテ戦)と直近10例中2例までが交流戦で達成されている。そして、交流戦の名勝負史に残るノーノー未遂も1度ならずあった。

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 交流戦導入初年度に「あと1人」でノーヒットノーランを逃したのが、現西武監督の西口文也だ。

 2005年5月13日の巨人戦、西武の先発・西口は8回まで清原和博に死球を与えた以外は、無安打無失点の快投を演じる。

 そして、6対0で迎えた9回2死、交流戦史上初の快挙まで「あと1人」という場面で、この日3打数無安打2三振の1番・清水隆行が打席に入る。

 3年前の02年8月1日の中日戦、川上憲伸のノーヒットノーラン達成の際に、最後の打者となった清水は「2度目だからね。明日もあるんで、何とかしたかった」と必死の思いだった。

 初球ファウルのあとの2球目、西口のスライダーが真ん中寄りに入った直後、清水のバットが一閃し、打球はライナーとなって右翼席中段に突き刺さった。最後の最後で記録はもとより完封までパーになった西口は、マウンドで苦笑いするばかりだった。

 2002年8月26日のロッテ戦に続いて9回2死から“大魚”を逃した不運な男は「甘かったね。膝元に落としてボールにしようと思ったんだけどね」とたった1球の失投を悔やんだが、「あれだけ完璧に打たれて、清々しかったです。悔しいと言うより、ノーヒットノーランなんてやっていいのかなって気持ちでした」と意外にさばさばした表情だった。

 ちなみに9回2死からのノーノー未遂2度は、ロッテ・仁科時成と並ぶタイ記録。「3度目はないんでしょう?日本シリーズの連敗記録(5)もタイだしね」と冗談めかしていたが、因果はめぐる。同年8月27日の楽天戦では9回をパーフェクトに抑えながら、打線の援護を得られないまま、延長10回、沖原佳典に初安打を許し、3度目のノーノー未遂を達成してしまった。

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