
男性化する必要はない
そして“決行日”の同年10月24日、女性の9割以上が仕事や家事・子育てを拒否。学校や保育園も休校になり、父親は子どもを職場に連れていかざるを得なくなったり、料理しやすいソーセージが街中の商店で売り切れになったりした。社会全体に与えた影響は大きく、翌76年には性別による賃金格差を禁止する法律が成立。80年には同国初となる女性大統領も誕生し、ジェンダー平等に向かって大きく前進することになった。
大統領は「50年前のストライキで、男性たちがこのままではいけないと気づいたことで、最も大きく変わったのは、チャイルドケアです。男性が家事・育児をすることが当たり前になり、男性育休も定着。女性たちが一致団結し、男性を変革の仲間にすることが大切です」と語った。
大統領は昨夏の大統領選で初当選した。当時13歳だった娘の学校で講演したとき、子どもたちに「大統領」「起業家」「教師」の絵を描いてもらったら、ほとんどの生徒が大統領と起業家は男性、教師は女性を描いたエピソードを披露。「アイスランドにもまだアンコンシャスバイアスはある。若い世代から変えていきたい」とし、こう締めくくった。
「女性が男性のようになる必要はありません。自分に自信を持ってください。日本は世界有数の経済国でG7の一員です。118位で満足していられるでしょうか。皆さんが男性との橋渡し役になり、ナンバーワンを目指してほしい」
(編集部・古田真梨子)
※AERA 2025年6月16日号
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