演奏活動のほか大学の教壇にも立つ廣津留さんの、「自分の軸」の現在地とは(撮影/吉松伸太郎)
 

Q. 廣津留さんは公立の小中高や海外で学んだことで、いろんな価値観やバックグラウンドを持つ人たちと出会ってきたと思います。多様な考え方に触れてきたなかで、「自分の軸」はどのように作り上げてきたのでしょうか。

A. 高校までは家族、特に母のポジティブ思考に影響された部分が大きかったと思いますが、自分の軸を培っていったという実感があるのは、やはり大学進学以降ですよね。同級生など周りの人たちがやりたいことをしっかり持っている人たちばかりだったので、ずいぶん影響を受けました。特に芸術系の友達は人から何か言われようと、自分の行動指針がはっきりしていて軸がぶれないんです。そうやって夢を叶えていく彼らの姿を見て「私も自分がやりたいことを信じて貫いていいんだ」と自信を持てるようになりました。自分の軸を誇りに思っていいというのは、私にとって大きな学びでした。

 「社会のために何かできないか」と考えている人に多く出会ったことも、私の軸となるものに少なからず影響していると思います。学業とバイオリンの両立を目指してハーバードで学ぶなかで、私も音楽をツールとして社会に何かよいアクションを起こせないかと考えるようになりました。そしていま、世界中で演奏活動をしながら大学でも授業を担当するなかで、音楽や教育を通じて次の世代に貢献したいという思いが私の軸の“現在地”にあります。年齢やライフステージを重ねていくとまた変化はあるかもしれませんが、これからも音楽という軸はぶれずに自分が進む方向を舵取りしていけたらと思っています。

構成/岩本恵美 衣装協力/BEAMS

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