同時に、社会保険に加入するメリットも考える必要があるという。例えば、年収106万円を超えると手取りが減るため、「働かない方が得」と考え就労を控えると、今以上のキャリアを築くことは難しい。目先の手取りにとらわれず、働いて収入を増やすことは長期的にはキャリアアップや夢の実現につながり、将来の受け取れる年金額も増える。どのような人生を送りたいのか、自分のキャリアをどう築いていきたいのか――そうした視点を持つことも大切だと強調する。

国として明確なビジョンを

 一方、障害や介護など、やむを得ない事情で働けない人は社会で支えていくことが必要不可欠という。セーフティーネットによって、個別の状況に応じた社会給付や救済措置を講じ、きめ細やかに対応していくことが大切という。

「制度改革には時間を要しますが、人口減少や経済の停滞といった日本が抱える深刻な社会課題から抜け出すためにも、現代にふさわしい制度設計は何か、国として明確なビジョンを示していく必要があります」(酒井氏)

(編集部・野村昌二)

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