重要なのは、どのようなライフステージでも、社会保険の保護を得られ、適正な賃金を受け取れる労働環境を整えること。そのためには、次の4点が重要になるという。
①働く意欲のある人への支援
中年期からでも、働く意欲のある人には能力に見合った賃金を得る道筋が見える雇用制度をつくる。
②女性のキャリア形成支援
女性が出産・育児を経てもキャリアを継続できるよう、育児休業制度をはじめ、非正規雇用者を含めた両立支援の対象を拡充し、継続を容易にするため利用時期や期間の夫婦の自由度も拡大する。
『世帯単位』から『個人単位』に
③子育て期は第3号に限定しない支援
低年齢児のケア期間の社会保険料免除は3号に限定しない。出産後の低収入の所得補填は、育児休業をとれない雇用者も対象に拡充する。さらに、早期の職場復帰支援を強化する。
④真の働き方改革
男性を含めた、正規・非正規の働き方の見直し。夫婦共働きが可能なように、残業や勤務地に対する企業命令の受け入れを当然の前提としない働き方改革。
「こうした、男女両面からのアプローチが同時に不可欠です」(永瀬教授)
みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井氏は、「働き方に中立的な制度設計が極めて重要」と説く。
「そのためには、社会保険制度をこれまでの『世帯単位』から『個人単位』にし、働く人すべてが社会保険料を支払う制度設計にアップデートしていくことが求められます」