米不足対策として、政府は米の不作や災害のために保管している備蓄米を今年3月以降に放出してきましたが、なかなかスーパーなどには十分に出回らず、生活している私たちにとって効果をあまり感じられない状況でした。

 そして新たに就任した小泉進次郎・農林水産相が、5キロ2千円(税抜き)程度で店頭に並ぶことをめざして備蓄米を放出する方針を示し、一部の店舗ではすでに安価な価格で販売が始まりました。
 

倒産・廃業相次ぐコメ農家

 出回っているお米が少ないなかで、比較的安い価格で手に入る機会が増えることになれば、消費者である私たちにとっては嬉しいことですよね。

 しかし、安い価格での販売は、一方でお米の生産者さんに入るお金が少なくなるということです。それでは農家の経営は苦しくなり、作り手がどんどん減ってしまいます。

 帝国データバンクによると、24年に倒産や休廃業・解散(廃業)に追い込まれた米作農業(コメ農家)の数は42件。23年の35件を上回り、過去最多を更新しました。

 背景には、多くを輸入に頼っている肥料や農薬などの値上がりがあり、さらに生産者さんの高齢化、そして後継者不足も廃業を後押ししているとされています。

 報道資料によると、廃業したコメ農家の代表者の年齢は、判明している限りでは、「70 代」以上が 6 割超、「60 代」を含めると約 8 割を占めるそうです。
 

 これまでに経験したことがないような大雨、猛烈な暑さといった極端な気象が珍しくない時代です。国として、市場に出回るお米の高騰を抑えつつ、生産者さんが安定してお米を生産できるような支援をしていく必要がある段階になってきていると思います。

 この夏には参院選も控えています。

 お米を愛する私たちとしても、米不足、米価の高騰についてどういう政策が取られているのか、しっかりとチェックしていきましょう。

(横川楓)

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