
昨季はダントツ最下位だった西武が今季ここまでは健闘している。逆に、強豪チーム作りを掲げた“VISION2025”集大成の年を迎えるはずだったロッテが低迷に苦しむ。両球団が好対照な理由に、過去にロッテでコーチを務め今季から西武入りした鳥越裕介ヘッドコーチの存在を挙げる人は多い。
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西武が戦前の予想を覆して善戦を続けている。40試合消化時点ながら、22勝18敗、勝率.550でリーグ2位につけている(5月19日時点)。
「潜在能力の高い選手は多いので、育成方法を間違えなければ光は見える」と、西武OBがキャンプ中から語っていたことは間違っていなかったようだ。
昨季の西武は91敗を喫して最下位に沈んだ(5位オリックスと14ゲーム差)。5月26日に松井稼頭央監督が休養、渡辺久信GMが代行監督を引き受けるも流れを変えることはできず、シーズン終了後には球団レジェンド2人が球団を去った。
「何をやってもうまくいかず、負けるだけ負けた。数年前(2018-19年)にはリーグ2連覇をしたチームがここまで落ち込むとは思わなかった。当時の主力が移籍した影響もあるが、一番は若手への移行がうまく行っていないこと」(西武関係者)
球団史に残るスター選手だった松井前監督は、周囲からの大ラブコールを受けての監督就任。現役引退直後の2019年から二軍監督を任せ指揮官経験を積ませるなど、西武球団の切り札でもあった。
「二軍監督として鍛え上げた選手と共に一軍監督へ昇格、黄金時代を築くプランだった。しかし一軍レベルの選手が育っていなかった。時代の変化もあるだろうが、野球への姿勢が甘い若手選手も目立った」(西武OB)
松井監督は2023年に一軍監督に就任するも、わずか1年強で同職を離れることとなる。西武では近年、若手選手を中心に女性問題等、多くの問題が発覚。球団全体の甘さを指摘する声が上がるようにもなっていた時期だった。
「緩い空気が蔓延していたのは確か。室内練習場や選手寮が建て替えられて野球をする環境は整った。しかし個々の意識が低く、高いポテンシャルを持った選手が成長できる状況ではなかった。フロントを含めた球団全体の問題だった」(西武関係者)