楽天の島内宏明(日刊スポーツ)

巨人はまだ強打者が欲しい

 リチャードの活躍が未知数なだけに、巨人を取材するスポーツ紙記者は、「巨人は今後も電撃トレードを行う可能性がある」と分析する。

「右大腿二頭筋筋損傷でリハビリが続いていた丸佳浩がファームで実戦復帰しましたが、打撃不振の坂本勇人は1軍昇格のメドが立っていません。エリエ・ヘルナンデスも精彩を欠いていますし、得点力を上げるためにはクリーンアップを打てる強打者が欲しい」

 即戦力の強打者を補強するのは容易ではないが、球界関係者はこう語る。

「可能性の話ですが、トレード移籍があり得るのは楽天の島内宏明です。打点王、最多安打を獲得した実績がありますが、近年は故障と若手の台頭で出場機会を減らしています。今年もコンディション不良で出遅れましたが、ファームで実戦復帰して、鋭いスイングを見せています。打撃はまだまださびついておらず、トレードのコマになることは考えられます」

 楽天と巨人の間では積極的にトレードが行われており、20年のシーズン途中に楽天のゼラス・ウィーラーと巨人・池田駿のトレードが成立。巨人に移籍したウィーラーは勝負強い打撃を発揮し、同年のリーグ優勝に貢献している。

 秋広を放出したように、トレードで欲しい選手を獲得するためには出血覚悟になる。巨人で交換要員の有力候補とささやかれるのが小林誠司、今村信貴だ。

昨年は菅野(左)とバッテリーを組んで貢献した巨人・小林誠司(日刊スポーツ)

1軍出場がなく厳しい立場の小林

 小林は今季1軍出場がないが、昨年は菅野智之(現オリオールズ)が登板した全試合で先発マスクをかぶって復活をサポートし、菅野とともに最優秀バッテリー賞を受賞した。だが、昨オフにソフトバンクの正捕手だった甲斐拓也がFA移籍で加入し、厳しい立場に追いやられた。1軍は甲斐が正捕手を務め、岸田行倫、大城卓三が控えている。他球団の首脳陣は「経験に裏打ちされた守備の安定感は小林の大きな強みです。数字に表れにくいですが、彼はまだまだ1軍でプラスをもたらせる選手ですよ」と高い評価を口にする。

 今村は今季1軍登板がないが、イースタンリーグで防御率1.80と安定した投球を続けており、左腕のリリーバーがコマ不足の球団には戦力となりえる。

 昨年リーグ優勝を果たした巨人がこのまま下位に低迷しているとは思えない。トレードを含め、戦力をどのように整備して逆襲を図るか、目が離せない。

(今川秀悟)

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