――The SALOVERSを終えた後もそう言っていましたよね。でもすぐやったじゃないですか。
2年後にやってますからね。でも今回はマジなんですよ。スッキリしちゃってるから。みんなから「いつ『3』が始まるのか」って言われるんですけど(笑)。これはマイナスの意味での「やりたくない」じゃないんです。バンドが最高だったからこそ、もう本当にやらないっていうことなんです。でも3回目、また組んだらみんな爆笑するでしょうね。でも未来のことは最近はあまり考えてないかもしれない。

「ここまで来ても変わらないんだ」
――それでも残っているコンプレックスもありますか?
今のコンプレックス……何なんだろうな。思いつかないんですよ。もうないのかもしれない。あるいはもう「しょうがねえ」って思っちゃってる。自分のコンプレックスに対しては今まで0勝99敗だったんですけど、ちょっと1勝できた部分もあるんですよね。2カ月間の旅はかなり大きかったなと思います。
――24年にTHE 2を解散して、いきなり一人で旅に出たんですよね。
バンドを解散して、それでコンプレックスが解消されたというよりも、むしろコンプレックスに負けたことが確定っていう状態になったんですよ。ある種諦めモードに入ったんですけど、そこから旅に出て。2カ月一人だったんで、散々時間は余ってるし、人と話すことよりも自分と話す時間の方が長かったので、そこでだいぶ過去のコンプレックスについても考えを巡らせたんです。
――著書『カトマンズに飛ばされて』に詳細に書かれていますが、かなり大変な旅だったようですね。
全部で9カ国回って、ネパールに行ったりガンジス川で沐浴したり……まったく知らない世界に自分を置くことで自分のコンプレックスに蓋ができるかな、変われるかもしれないなという期待をしていたんですけど、そういう意味ではまったく変わらなかったんです。
でも、思ったんですよね。インド北部のレーっていう町に行って非現実的な景色を見たときに、「ここまで来ても変わらないんだ」って思ったら、逆に自分のことが愛おしくなってきたんです。変えるべきと思っていたけど、ここまでブレないんだったらせめて自分ぐらいは自分自身を愛そうかなって思ったんです。それで初めて、1勝なのか引き分けなのか分からないですけど、そこでコンプレックスに対する考えが変わったというのはありましたね。
――じゃあ今はコンプレックスはない?
でも1個あるとしたら雨男だっていうこと。僕が屋外で歌うときって全部台風レベルの雨が降るんです。今年もすでに2回そうなってるんですけど(笑)。でもそのコンプレックスの乗り越え方はちょっとわからないですね。
(構成/ライター・小川智宏、撮影/写真映像部・松永卓也)
