仲間たちと過ごすかけがえのない時間を守りたい(写真はイメージ/撮影・写真映像部・和仁貢介)

高校から伸びる選手が出てこなくなる

 高校の野球部員が激減している状況はプロ野球にとっても由々しき問題だ。アスリートとして高い能力を秘めた子供が、家庭の経済的な事情で野球を続けられないことは大きな損失だろう。アマチュア野球を取材するスポーツ紙記者は警鐘を鳴らす。

「中学までは目立っていなくても、高校進学後に一気に伸びてプロ入りして活躍する選手は少なくありません。こういった成長曲線を描けるのは、日本に部活動というシステムがあって、高校で野球を続けられたからです。金銭的理由で部活動を続けるハードルが上がってしまうと、競技人口が減り続けて、日本の野球のレベルが下がってしまいます」

 高校で野球部に入る子供たちは、当然ながら全員がプロ野球選手を目指しているわけではない。仲間たちと純粋に白球を追いかけ、嫌なことを忘れるほど無我夢中になれる。もちろん野球だけではない。スポーツや芸術といった部活動は、人格形成に大きな影響を与える。そのかけがえのない時間が、家庭の経済的な事情で失われている現実がある。国や自治体といったレベルを含め、子供たちが部活動を続けるためのサポートを検討できないだろうか。

(今川秀悟)

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