そうしているうちに大きなサカキの枝を掲げた宮司が神輿の前に立ち、幕を持った年寄りたちに囲まれながら社殿の奥へと吸い込まれていきました。
私は圧倒されて、しばらく息ができないほどでした。
そして自然と涙が溢れてきました。
大津神社総代長の東博さんは祭りに寄せて「30年前、春から中学になる二人の少女が神楽社中に入りました。今思えばそれが『持続可能な神岡祭り』への始まりだったのです」と記しておられます。
男性しか執り行えなかった祭りの場にも、女性の参加を自然に認めてきた神岡祭。私も常に、男性女性という性別の違いはあっても、人は人として生きていけるべきだと思っています。この神岡の町も、人口減少に苦労しながらも大切な祭りを続けるためにみなの心を集め、ひとつになって守り抜いているその姿に心が打ち震えました。
山奥の、昔と未来がある不思議な町・神岡に、その一つの答えが自然に息づいていることに、心からの感謝を捧げた夜でした。