祖父江里奈さん/撮影:佐藤創紀

不倫ドラマとBLは収益モデルがちがう…?

――テレビ局の配信での収益モデルについて教えてください。

 配信サービスは大きく分けて2種類あります。一つは、TVerに代表される、広告が流れる代わりに無料で視聴できる「AVOD(アドバタイジング・ビデオ・オン・デマンド)」。もうひとつは、U-NEXTやNetflixなど、定額制で料金を払って視聴する「SVOD(サブスクリプション・ビデオ・オン・デマンド)」です。

 私たちが作る番組は、AVODで視聴されればそのたびに広告収入が入り、SVODプラットフォームとライセンス契約を結べればその許諾料が入る。コンテンツの企画段階から、どのパターンで収益化できるかを考えています。

 たとえば不倫ドラマなどキャッチーなコンテンツはAVODで再生回数が伸びやすい。一方、SVODと相性がいいのはBLのように「課金してでも見たい」と思ってくれるコアなファンがついているジャンルですね。後者のような作品は、グッズやDVDの販売収入も期待できます。

 収益モデルや評価軸がいくつもできている状況は、作り手としては楽しいです。視聴率が取れなさそうな企画でも、お金の稼ぎ方を明確にできれば会議で通すことができる。特にドラマは1クール3カ月で終わるので、バラエティーや報道など他ジャンルよりもフレキシブルに、番組制作にチャレンジできます。

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