祖父江里奈さん/撮影:佐藤創紀

テレビ局だからこそ作れるコンテンツとは

――Netflixをはじめ、配信メディアは大幅な予算と時間を投下して、質の高いオリジナル作品を次々制作しています。同じコンテンツメーカーとして脅威に感じますか?

 Netflixは、過去の人気コンテンツを徹底的に分析した上で、脚本家チームが“ほぼ間違いなくヒットする”ストーリーを書き、ビッグバジェットで映像化している。作品を見てもやはり面白いし、テレビ局はもう終わりかもしれないと思いました。

 でも、そもそも戦わないという戦略もあるわけです。毎日ステーキを食べたら疲れてしまうように、世の中の人たちは常に重厚な大作を見たいわけではないはず。我々は、働くおじさんが一人定食屋でごはんを食べる……みたいな独自の世界観を堂々と提示していけばいいのかな、と思っています。

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――配信メディアだけでなく、SNS上にも無数の映像コンテンツがあふれる今、テレビ局だからこそ作れるコンテンツとは何だと思いますか?

 難しい問題ですね、本当に分からない。でも最近は、信用されるコンテンツを誠実に作ることに尽きるのかなと思うようになりました。

 ネットメディアなど、コンテンツメーカーの中でも新興勢力の方々と話すと、「バズる=正義」という考えに触れることがよくあります。でも数字を取るためとはいえ、“していいことと悪いことの線引き”は重要なはずです。

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