
期限があった野村と期限がなかった石川
石川と野村の「サプライズ4番」宣言は同じように話題を呼んだが、両監督の起用方針には大きな違いがあった。井上監督は「我慢比べ」と言って結果が出なくても起用し続ける考えを口にしていたが、新庄監督は「開幕15試合限定」と明確に期限を示していた。
「新庄監督はシビアです。期待はしても信用はしないということでしょう。ファームと違って1軍は勝たなければいけません。日本ハムにはレイエス、清宮幸太郎、万波中正など強打者がいますし、優勝を目指す上で温情での起用はチームのプラスに働かない。野村の4番を15試合限定としたことで、特別扱いではないということを示しました」(北海道のテレビ関係者)
結果的に、期限がなかった石川はファームに降格。15試合限定だった野村は新庄監督が「延長」を宣言し、20試合が過ぎた現在も4番で起用され続けている。
スポーツ紙デスクも「石川と野村では状況がまったく違いました」と話す。
「昨年まで、野村はファームにいるとき格の違いを見せて打ちまくっていた。1軍で力を発揮できないのは、結果を出そうと気持ちが焦り、本来のスイングができていないことが原因でした。新庄監督は4番で起用することで迷いをなくそうという狙いがあったのでしょう。負けん気が強い性格なので意気に感じたと思います。一方で石川は打撃のスタイル自体が定まっていない。1軍で活躍できないのも故障が多いなど、打撃の技術以前にコンディション面で課題を抱えていました。性格も繊細なので4番に入って結果が出ないときにどうなるのか不安がありました」
石川を高校時代から見てきた他球団のスカウトはこう指摘する。
「石川はミートポイントが捕手に近く、力感のないスイングでも打球が飛んでいく。中村剛也(西武)に近いですね。軽々とスイングしているように見えますが、それが彼の打撃スタイルなんです。ああいうタイプの選手はミートポイントをいじるとおかしくなってしまう」