井上監督率いる今年の中日は強いのか、それともやっぱり弱いのか
この記事の写真をすべて見る

 今年の中日は強いのか、弱いのか、わからない。開幕から1カ月が経過したが不安定な戦いが続き、順位も上下動。他球団も安定しておらず上位進出のチャンスもあるのだろうが、攻撃力の弱さは変わらずで先行き不透明だ。

【写真】新庄監督がもしやめたら…日ハムの次期監督はやはりこのレジェンドか

「中日は弱い、のレッテルを剥がしにいこうぜ」(井上一樹監督)

 そう指揮官がキャンプイン前日に発した言葉が号砲となって突き進むはずだった。

 しかし、3月28日の開幕戦はDeNA戦(横浜)に「0-5」で敗戦。19年ぶりの開幕戦完封負けはリーグ優勝した2006年以来でもあり、一部では「縁起が良い」という声も聞かれたが、今のところは調子に乗り切れていない。

「開幕戦は想定外のことも重なったが、エース・高橋宏斗が6回途中5失点でのKOは痛かった。チーム内に『今年も同じか……』という雰囲気が流れたのは否定できない」(中日関係者)

 野手が打球判断を見間違うなどのミスもあったが、将来のメジャー候補とも言われる右腕の乱調はチームに衝撃を与えた。「次やり返せば良いじゃん」と井上監督は降板時の高橋に声をかけたというが、開幕ダッシュにつまずいたのは間違いなかった。

 勝つ時は1、2点差を守り切っての辛勝、負ける時は大差をつけられての完敗がここまでの戦いぶり。4月19日時点でチーム打率.198、得点34、本塁打5本はいずれもリーグ最下位だ。

「打てないので投手陣が踏ん張らないと試合にならない。先発陣は『1点も与えたくない』という気持ちでマウンドに上がっているはず。逃げ切るためにブルペン陣の登板数も多くなる。投手陣は肉体、精神の両方で重圧がすごく、疲労が溜まり始める夏場へ向けての心配は大きい」(中日OB)

 先発陣は右腕の高橋、柳裕也、ウンベルト・メヒア、左腕の大野雄大、松葉貴大、カイル・マラーとバランスは取れている。ブルペン陣も抑えの松山晋也をはじめ、勝野昌慶、齋藤綱記、清水達也、祖父江大輔、藤嶋健人、ユニオン・マルテ等は登板数が増えつつも必死に投げている。「投手陣は頑張っているので責められない」(中日OB)という声も理解できる。

次のページ 「それでも中日は不気味な存在」