不調が続く巨人・戸郷(日刊スポーツ)
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 巨人が波に乗れない。ヤクルトに開幕3連勝を飾ったが、その後は阪神、広島に同一カード3連敗を喫するなど6勝7敗1分で借金生活に(4月13日終了時)。もっとも気がかりなのが、不調で登録抹消されたエースの戸郷翔征だ。

【写真】WBC決勝で米国打線を封殺、マウンドで叫ぶ戸郷

 戸郷は開幕投手を務めた3月28日のヤクルト戦で5回4安打4失点で降板、4月4日の阪神戦も3回7安打3失点と試合を作れなかった。そして、11日の広島戦。復調のきっかけをつかみたいマウンドだったが、メッタ打ちをくらった。4回持たず10安打10失点。低めに落ちるフォークが見切られ、高めに浮いた直球をことごとく痛打された。状態が良い時の戸郷は相手が直球を待っているときでも、直球で差し込んでファールにしたり、空振りさせたりしていたが、今年は三振が奪えずにきっちり捉えられている。3試合登板で防御率11.12まで悪化し、ファーム調整が決まった。

「カットボールの習得に取り組んだ結果、直球の質が落ちた」「制球を追い求めて投球フォームに荒々しさが消えている」などの指摘が出ているが、対戦相手はどう感じているだろうか。

 他球団のスコアラーは「何とも言えないですね。これから対戦がまだ続きますし、企業秘密ですよ」と明言を避けたが、「彼の生命線は直球です。腕の振りが独特の投手なので対策が難しいのですが、何度も対戦していますし、やられっぱなしではいけない。ボール球になる変化球を見極めて打者有利なカウントを作ることがポイントになります」と語ってくれた。

 戸郷の生命線である直球の質が、本来の状態でないことは間違いない。懸念されるのが勤続疲労だ。高卒2年目の20年から先発ローテーション入りし、21年に151イニング、22年から3年連続170イニング以上を投げている。最多奪三振のタイトルを2度獲得するなど、巨人のエースに成長したが、昨年は直球の球速が140キロ台前半に落ちた時期があった。スライダー、フォークとのコンビネーションで大量失点せずにきっちり試合を作っていたが、メジャー西海岸のスカウトは懸念を口にしていた。

「首脳陣は故障のリスクを考えながら当然起用しているでしょうが、驚いたのは昨年のプレミア12に選出されたことです。この5年間で計780イニング以上投げて、23年はWBCでも登板している。彼に必要なのは休養です。このままでは壊れてしまう」

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