インドでアシュラムを経験後、念願のビールを手にする筆者(photo本人提供)
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人生で2度めのインドへ

 私にとって、インドは「いつか行ってみたい国」だった。でも、まさか人生で2度もインドに行くことになるなんて、思ってもみなかった。

【写真】17年勤めた会社をやめてインドへ 現地の食生活も満喫

灯台にのぼると、滞在した南インド・バルカラの街を一望できた(photo筆者撮影)

 20代の頃にバックパッカーで半年ほど海外をめぐったが、このときは南米に時間をかけすぎてたどりつけなかった。30代半ばになって初めて渡印し、ガンジス河沿いの街に1週間ほど滞在した。しかし客引きの多さや毎回の値段交渉に疲れ、さらにそれを笑い飛ばせない自分の狭量さにもうんざりして「再び来ることはないだろうな」と思いながら彼の地を後にしたのだった。

 でも、この数年で「別の角度からインドを見てみたい」との思いが芽生えてきた。理由のひとつがヨガだ。20代後半から始め、仕事でストレスを感じることが少なくない日々の中、体がほぐれて心が落ち着く時間にずいぶん助けられてきた。インストラクターの資格を取るためにヨガ哲学や体の仕組みについて学び、その奥深さにも興味が湧いた。

岩本さんが手配してくれたオートリキシャには「こんにちは」のシールが貼られていた。内部は派手に飾り付けられていることが多い(photo 筆者撮影)

大手旅行会社がこぞって「インドツアー」を企画

 ヨガの起源は約4500年前のインドにあると言われている。いま行けば、また違うインドが見えるかもしれない。

 そんなことを思っていた昨秋、定期的に通うヨガスタジオからお知らせが届いた。伝統医療であり、ヨガと深く関連するアーユルヴェーダをテーマとした南インドツアーを企画しているのだという。南インドは気候が温暖なことや、料理がおいしいことなどから最近人気だそうだ。実際、大手旅行会社などもこぞって「インドツアー」を企画している。2023年に中国を抜いて人口世界1位となり、経済成長も著しいインド。ビジネスパートナーとして注目されているが、それだけにとどまらない魅力を感じて興味が湧いた。

アーユルヴェーダのトリートメントを受けた施設(photo 筆者撮影)

17年近く勤めた会社をやめた

 タイミングも良かった。私は2年前、17年近く勤めた会社をやめた。40代半ばでフリーランスになることについて多くの人から「不安じゃないの?」と聞かれたが、「なんとかなるだろう」と楽観的に物事を捉えられたのは、ヨガで心を整える習慣があったからのように思う。いまの自分はインドをどう感じるのだろう。ツアーへ参加するとともに、ひと足先に出発して一人旅も楽しむ計画を立てた。

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