中学入試では、学校の願いやカラーが見えるような問題が出題されている。年間500問の問題を解いてきた過去問のプロがうなった選りすぐりの3問を公開。そこから見える近年の傾向とは。AERA 2024年7月1日号より。

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インドの「ヴェーダ数学」を使う問題

 算数の問題で個性が光るのは明星学園(東京)だ。これまで最終問題に「ユークリッドの互除法」「カプレカ数」「オスターリ・マッサー予想」などの数学者の定理や、東京五輪のエンブレム、素数ゼミなどを取り上げている。

 中でも興味深いのが19年。おそらくほとんどの小学生が聞いたことがないであろうインドの「ヴェーダ数学」についてまるまる1ページを使って解説した後で、2桁のかけ算を3題解かせている。ごく初歩の計算問題だが、ヴェーダ数学を使うところがミソだ。首都圏の中学・高校受験の過去問題集を出版している「声の教育社」常務取締役・後藤和浩さんは、こう解説する。

「最近の入試傾向のひとつです。問題文で初見の資料を与えられ、必要な要素を頭にいれて解いていくタイプの問題です。選考するだけの入試ではなく、数学の楽しさを味わってほしいという先生の意思が感じられます。いかにも私学らしい問題だと思います」

「婚姻届」が資料として配布

 社会はホットな時事問題を扱うので、学校の指向性や願いがにじみ出る。それだけに他の教科と比べて、先生のこだわりが感じられるマニアックな出題が多いようだ。

 17年、公文国際学園(横浜市)が行った社会科のテストは、なんと最初の資料が婚姻届をコピーしたものだった。

 問題を開いた受験生の驚いた顔が想像できるが、さらに婚姻に関して規定された日本国憲法の第24条と朝日新聞の同性婚に関する記事も資料として提示された。

「公文国際は実社会で起きている問題を授業で取り上げており、早い時期からジェンダーやLGBTにも触れています。そのような学校の姿勢が入試問題にも表れています」(後藤さん)

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柿崎明子
ライター 柿崎明子
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