
開幕から熱戦が続いているプロ野球。宗山塁(楽天)、渡部聖弥(西武)といったルーキーや新外国人のキャベッジ(巨人)など新戦力の活躍に注目が集まっているが、一方で実績はありながらも年々苦しい立場になっている選手も少なくない。そんな正念場を迎えている主な選手の現状はどうなっているのだろうか。
【写真】中日の“気の毒な投手”といえばこの人 将来は移籍の可能性も?
まずオフに移籍した選手で最注目と言えるのが田中将大(巨人)だ。昨年は開幕から調子が上がらず一軍でわずか1試合の登板に終わると、契約交渉では大幅な減額を提示されて自由契約を選択し、巨人へと移籍となった。キャンプでは徹底したフォームの見直しに着手。オープン戦でも結果を残して開幕ローテーション入りを果たすと、巨人での初登板となった4月3日の中日戦では5回を1失点と試合を作り、見事にセ・リーグでの初勝利をマークして見せた。ストレートは140キロ台中盤とかつてのような球威はないものの、代名詞のスプリット以外にもスライダー、ツーシームなどあらゆる変化球を上手く使うピッチングはベテランらしい老獪さが感じられた。走者を背負っても無理に三振を狙いにいくのではなく、打たせてとるという新しいスタイルを見せたこともプラス要因と言えるだろう。これで日米通算198勝となり、大記録まであと2勝と迫ったが、この状態をキープできればさらに勝ち星を積み重ねることも期待できそうだ。
投手では田中より一足先に名球会入りを果たした平野佳寿(オリックス)も今年が勝負のシーズンとなる。2021年にメジャーからオリックスに復帰し、その後も抑えとしてチームのパ・リーグ3連覇に大きく貢献。2023年には名球会入りの基準となる日米通算250セーブも達成した。しかし昨年は開幕から打ち込まれて二軍暮らしが続き、わずか12試合の登板で防御率4点台という数字に終わっている。しかしそれでも今年は3月30日の楽天戦で1試合を無失点に抑えると、4月3日のロッテ戦では1点リードの9回を任され、2人の走者を出しながらもしっかり試合を締めて見せた。田中と同様にストレートのスピードは落ちているものの、正確なコントロールは健在で、決め球のフォークもまだまだ威力を発揮している。チームの投手陣は宇田川優希、吉田輝星が相次いでトミー・ジョン手術を受けるなどリリーフ陣の故障が続いているだけに、今後も大事な場面を任される可能性は十分にあるだろう。