8回をピシャリと抑えた大勢(左)をハイタッチで迎える田中(日刊スポーツ)

スター選手が多い巨人は精神的にもプラス

 一方で、もしヤクルトが田中を獲得していた場合、活躍できたかどうかの判断は難しい。ヤクルトは救援陣が不安定だ。開幕戦で巨人相手に7回まで5点をリードして試合の主導権を握っていたが、試合終盤に登板したリリーフ陣が踏ん張れず、逆転負けを喫している。先発不足に悩むヤクルトだが、スポーツ紙デスクはヤクルトが獲得に動かなかった理由をこう分析する。

「巨人とヤクルトではチーム状況がまったく違います。先発陣が豊富な巨人は田中が復活してくれれば大きなプラスになりますが、必要不可欠な戦力という位置づけではない。一方のヤクルトは先発投手を獲るなら計算できる即戦力がほしい。近年の田中のパフォーマンスを見ると獲得に踏み切れなかったのは当然と言えます」

 田中が巨人に移籍したことは精神的にもプラスだった。スポーツ紙記者はこう話す。

「田中が楽天でプレーしているときは、周りの選手たちが身構えてしまう部分があったと思います。田中は球団のレジェンドですから。でも、巨人では同学年の坂本勇人丸佳浩、長野久義、新加入の甲斐拓也、マルティネスとスター選手がたくさんいるので、田中が目立つことがない。大勢など若手たちが新加入の選手たちにどんどん話しかけますし、ベテランが溶け込みやすい環境だと思います」

 長年過ごした楽天を飛び出した田中は、ベストな「居場所」を見つけたと言える。このまま自分の投球を取り戻していけば、通算200勝も通過点に過ぎないはずだ。

(今川秀悟)

[AERA最新号はこちら]