巨人移籍後初勝利をあげた田中将大
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 苦難の末につかんだ白星だった。巨人田中将大が4月3日の中日戦に移籍後初登板し、5回を5安打3四球と苦しみながら1失点の粘投。楽天時代の2023年8月26日以来、586日ぶりの勝利をあげ、日米通算198勝となった。

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 直球に全盛期の球威はない。変化球も高めに浮くケースが見られ、紙一重の勝利だったかもしれない。初回にいきなり岡林勇希、上林誠知に連打を浴びて無死一、二塁のピンチを迎える。ここで3番・細川成也を中堅フェンス手前のフライ、4番・石川昂弥を147キロ直球で遊ゴロ併殺打に仕留めたのが試合のポイントだった。先制点を許していたらまったく違う試合展開になっていただろう。3点リードの5回も1死満塁のピンチを迎えて崩れかかったが、ここで踏ん張る。細川を三ゴロ併殺打に仕留めると、雄叫びを上げた。

 5回を96球で最少失点に切り抜けて降板。巨人は6回以降、投手5人を繰り出す小刻みな継投策で逃げ切り、田中の白星を守った。試合後のお立ち台に上がった田中は喜びをかみしめるように話した。

「本当に今日はもう勝たせていただいた1勝。でも、自分にとっても今日のこの1勝っていうのはものすごく特別ですし、本当にいろんな思いがあって、今日こうして勝つことができて本当にうれしく思います」

 田中は23年オフに右肘のクリーニング手術を受け、その影響で昨年は1軍登板が1試合のみ。プロ18年目で初の勝ち星のないシーズンだった。オフの契約交渉では楽天から減額制限を超える条件提示を受け、田中は「(楽天には)居場所はないんじゃないか」と自由契約を申し入れて退団した。

 獲得球団が現れる保証はなかった。日本球界に復帰した21年以降の4年間で田中は通算20勝33敗。先発の柱として期待されたが2ケタ勝利を一度も挙げられず、22、23年はリーグ最多の黒星を喫している。先発のコマ不足が長年の課題であるヤクルトが移籍先の有力候補に見られたが、獲得に動くことはなかった。12月下旬になっても去就が決まらず、引退危機もささやかれた中、救いの手を差し伸べたのが巨人だった。

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