40歳の大ベテランとなった長野は、全てのプレーで全力疾走をすることはない。しかし外野の間を抜けた時には一気に加速、1つでも先の塁を目指す。丸が目指すべき「走れてなんぼ……」の1つの理想系だ。

「広島時代からも盗塁数は極端に多くなかった。『タナ(田中広輔)、キク(菊池涼介)、マル』の3人で走り回る印象はあったが、隙のない走塁をする感じ」(在京球団編成担当者)

 2013年に29個で盗塁王を獲得したが、他の年はそこまで多くなかった。巨人移籍後も1年目の2019年は12盗塁したが、以降は一桁数で推移している。盗塁ではなく要所で貢献できる走塁を目指すべきかもしれない。

「打撃や守備もフル活躍を期待するのは酷になる。打撃なら4打席中1度でも結果を出す。守備も外野で最も負担の少ないレフトを守らせる。良い意味で『手を抜く』ことができれば、さらなる戦力になれる」(巨人OB)

坂本勇人はうまくシフトできている。負担の少ない三塁を守り、のんびり打てる6番が定位置になりつつある。中軸ではないが要所で素晴らしい働きをする。丸も同様の役割を目指すべきだろう」(在京球団編成担当者)

 どんなスター選手でも年齢と共に右肩下がりになるのは否めない。その中でも自分の居場所を見つけ出せた者がプロの世界で長生きできる。

「(丸が)一軍にいないのは戦力的には痛いが、選手生命を伸ばすために活かせるならマイナスではない。同年代の坂本や田中将大と共にあと5年はやって欲しい。夏場を目処に戻ってきて、日本一へ向け活躍してもらいたい」(巨人OB)

 巨人の世代交代は少しずつ進んでいるとはいえ、まだまだ心許ないのは確か。若手が安心してプレーできるためにも、丸を含めたべテランの存在はこれからも必要だ。だからこそ、焦らず万全な状態で復帰してもらいたいものだ。東京ドームに戻ってきた時には、この先を見据えて今までと違った姿でのプレーも見られるかもしれない。

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