第49回木村伊兵衛写真賞を受賞した長沢慎一郎氏(撮影:和仁貢介/朝日新聞出版写真映像部)
この記事の写真をすべて見る

 第49回「木村伊兵衛写真賞」(主催・朝日新聞社、朝日新聞出版)が、長沢慎一郎氏とその作品に決定しました。長沢氏には賞状と賞牌(しょうはい)、副賞100万円が贈られます。

*  *  *

 対象作は写真集『Mary Had a Little Lamb』(赤々舎)で、受賞作品展は4月25日~5月8日まで、ソニーイメージングギャラリー銀座(東京)で開催されます。

 長沢氏は1977年東京都八王子市生まれ。日本写真芸術専門学校、10BANスタジオを経て、広告写真家・藤井保氏の元で4年半アシスタントを続け、2006年に独立しました。

 長く広告写真の分野で活躍し、2008年に東京都小笠原・父島の約100年前の欧米系島民の写真に衝撃を受けて撮影をはじめました。13年の年月を経て、欧米系島民のアイデンティティーをまとめた初の写真集『The Bonin Islanders』を出版し、2024年に受賞作を発表しました。

 木村伊兵衛写真賞は、故木村伊兵衛氏の業績を記念し、1975年に創設。各年にすぐれた作品を発表した新人写真家を対象に表彰しています。受賞者は、写真関係者からアンケートによって推薦された候補者の中から、2回の選考会を経て決定されます。

 第49回の同賞は、既に発表されたノミネート6人(上原沙也加氏、金川晋吾氏、須藤絢乃氏、中西敏貴氏、長沢慎一郎氏、吉田多麻希氏)の作品から選考委員4人(写真家・今森光彦氏、大西みつぐ氏、澤田知子氏、長島有里枝氏)による討議を重ねて確定しました。以下に、選考委員のことばを全文掲載します。

次のページ 今森光彦氏の選評は……