NHK連続テレビ小説「おむすび」のメインビジュアル/NHK公式ホームページより

橋本環奈そのものにも事情が

 ヒロインの橋本環奈にも、親しみが抱けなかった一面もあった。マネージャーに対してのパワハラ疑惑が報じられたほか、ドラマ後半にはヒロインが一切出てこず、米田結の姉で“伝説のギャル”の米田歩(仲里依紗)らが中心となった期間があった。

 様々な事情があったにせよ、木俣さんは、昔ながらの朝ドラファンには「残念」だったのでは、と言う。

「橋本環奈さんが忙しくて、途中に出ない週が2週間あったこともあり、朝ドラに集中していないのではないか、というネガティブな印象がついてしまったところがありました。

 仕事を掛け持ちするのは珍しいことではありませんが、朝ドラはこれまで、このドラマに全力投球しているヒロインの俳優を応援するスタンスがデフォルトのようになっていたため、昔ながらの朝ドラファンのなかには残念な気持ちになった方もいたのではないでしょうか。忙しいなか、できる限り頑張っていたであろう橋本さんにはお気の毒だった気がします」

 ヒロインの一生と、そのヒロインを演じる俳優を自然と応援していくからこそ、半年間、100話を超える長丁場を乗り切り、心に残る名作となるのだろう。
 

震災、コロナ禍整理がつきにくい

 また、木俣さんは「阪神・淡路大震災から30年企画だったはずが、やや焦点がぼやけた」と指摘する。

「おむすび」は当初、1995年に発生した阪神・淡路大震災の復興30年の節目の企画とうたわれていた。しかし、福岡県の糸島が舞台→回想で阪神淡路大震災の体験→再び神戸に戻る、というドラマの構成に、「視聴者の感情の整理がつきにくかった気がします」と木俣さんは言う。

 ドラマではさらに、2011年の東日本大震災、22年のコロナ禍が盛り込まれる。このことで、ますます焦点が定まらなくなったと木俣さんは見る。

「東日本大震災とコロナ禍という大きな出来事まで描いたため、阪神・淡路大震災からの復興が主なのか、平成30年間は日本人が災害に翻弄された時代だったと振り返りたいのか、焦点が定まらず、全体的に問題意識が薄まってしまったように思います。ただ、最終回をどう締めるかで印象も変わると思うので、まだ断定はできませんが」

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