中村は4試合で12打数6安打5打点の打率5割、中田も2回戦の佐野日大戦で2打席連続弾の5打点と大物ぶりを見せつけたが、帝京は準決勝で大垣日大、大阪桐蔭は準々決勝で常葉菊川に敗れ、どちらも栄冠には届かなかった。
2010年代では、12年に東の大谷翔平(花巻東)、西の藤浪晋太郎の190センチ超投手同士の対決が1回戦で実現。大谷は2回に藤浪のスライダーを右中間席に運ぶ甲子園初アーチを放ち、大阪桐蔭打線を5回まで零封と投打にわたって怪物ぶりを発揮する。
だが、前年夏の左坐骨故障の影響による調整不足から6回以降9点を失い、無念の逆転負け。12奪三振2失点の藤浪に軍配が上がり、大阪桐蔭は同校初の春夏連覇を達成。一方、大谷はこれが最後の甲子園となり、春夏通算0勝2敗で終わっている。
17年には東の清宮幸太郎(早稲田実)、西の安田尚憲(履正社)が注目された。安田が17打数7安打1本塁打3打点でチームの準優勝に貢献したのに対し、甲子園で高校通算80号達成を狙っていた清宮は9打数3安打0打点で2回戦敗退。「もうちょっと長くやるはずだった」と悔いを残した。(文・久保田龍雄)
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

