
通訳官のノートを取り上げる
トランプは会話の内容が公開されないよう極めて神経質になっていることが分かる。
第1回の会談となった2017年7月7日のドイツ・ハンブルクでは、トランプは会談後、通訳からノートを取り上げた上に、聞いたことは誰にも口外してはならないと命じたという。
そんな経緯にミュラー特別検察官も米議会民主党も関心を持ち、通訳官らに対してノートの提出を求める動きがあったが、現在はノートが存在するかどうかも明らかではない。
2018年7月16日、フィンランド・ヘルシンキでの公式の米露首脳会談は野党民主党の強い批判を浴びた。1対1で約2時間、通訳だけが同席したこの会談の終了後の記者会見で、トランプは2016年米大統領選挙へのロシアの介入について「プーチン大統領はロシアじゃないと言っている。ロシアである理由が見当たらない」とプーチンの主張を鵜呑みにする発言をした。CIAは「プーチンが介入を指示した」とする判断をしており、米大統領が自国の情報機関を信頼せず、ロシア大統領を信頼するというおかしな現実が明からさまになった。
2人が非常に親しいことはウッドワードの新著からあらためて明らかになった。コロナ感染の最盛期にトランプはコロナウイルスを検出する検査機器をプーチンに贈ったという。
また、フロリダ州の別荘でトランプは自分の部屋でプーチンに電話をする際には、人払いをし、側近にも会話内容を聞かせないようにしているという。
「ディープステート」が止めたトランプの〝暴挙?
トランプがこれほどの神経質な態度を示していることもあり、ダン・コーツ元DNI長官やストローブ・タルボット元国務副長官ら元米政府高官は「プーチンはトランプを操っている」との見解で一致している。
ではプーチンは、トランプを使って何をさせようとしているのか。
プーチンとしてはまず、NATOの拡大を止めたい。具体的にはウクライナのNATO加盟阻止、米国のウクライナへの軍事援助停止、米国のNATO離脱を実現したいと考えてきたに違いない。