
さまざまな形での「不本意な入学」。気持ちを切り替えるために、入学後に本人ができることは何かないのか。心理カウンセラーの小日向るり子さんはこんなアドバイスをする。
「『4年後になりたい自分』に焦点をあてることです。卒業のとき『この大学でよかったんだ』と思えるためにはどんな自分であればいいか。思考の転換です」
もう一つが、思考の枠組みを変え、入学した大学が落ちた大学よりも魅力的に思える点に視線を移してみること。心理学でいう「リフレーミング」だ。
「たとえば第1志望の『地味系』の国立大学に落ち、陽キャなイメージの私立大学に入ることになったなら、もうサークル活動や恋愛を楽しむ方向に思い切り、振りきってみる。そんな切り替えも有効だと思います」
「頑張る力」に変える
別の角度からのアドバイスもある。教育家で「見守る子育て研究所」所長の小川大介さんは、「学歴を気にする必要のない確固たる自分を築くこと」が何よりも大事だと話す。
「大学や学部のブランドが社会の中で意味を持ち続けていることは確か。綺麗ごとで『それぞれが進んだ場所で頑張ればいいんだよ』のひと言で済ませられないのはよくわかります」
でも、だからこそ、小川さんには伝えたいことがある。「本当に社会で認められる人とは、自分の意志で、自分のやりたいことを見つけ、それをやり切っている人だ」ということだ。
「そういう存在になれば、もはやその人の学歴を気にする人はいません。もちろん、年上世代を中心に『序列』を気にして生きてきた人がいるので、この先10年、20年は序列を引きずった見方をされると割り切ったうえで、『自分の大学名を関係なく思える自分』を地道な努力で作っていく。そこに尽きます」
大学受験において味わったネガティブな感情を、「頑張る力」にぜひ変えていってほしい、と小川さんは言う。
「入学した大学がブランド校じゃなくても、自分が魅力的な人になってそのブランドを上げればいい。それくらいのつもりで頑張ってほしいと思います」
ネガティブな思いを、「頑張る力」に変える。実は先に紹介した「大学受験失敗を引きずった」3人には後日談がある。
早稲田の二文に入学した男性はその後、第一文学部への転部を試みるもまた不合格。ここで吹っ切れた男性は就職ではなく大学院へのチャレンジを始め、見事合格。「逆転勝利だと思いましたね(笑)」と話す。
「現状が悔しいなら、次のチャンスで取り返せばいいだけ。人生はこれからだよ。そう若い人には言いたいです」