YouTube番組の収録をする上原浩治氏(右)。左は元アシスタントの上田まりえさん

再生回数が減っていってフェードアウト

 現役引退したプロ野球OBのYouTube番組は多数あるが、成功している番組は一握りだけという厳しい現実がある。現役引退後にYouTubeを開設しても、視聴回数が1万回も超えずに更新が滞り、自然消滅状態に陥るケースが多い。

 YouTubeチャンネルを開設する現役OBが多いのには理由がある。60歳代のセ・リーグOBは数年前に開設したが、もう半年以上、動画を更新していない。チャンネルを開設した事情について、こう明かす。

「テレビ局やメディア媒体の解説のギャラが10年前に比べて減っているんだよ。正直、解説の仕事だけで生活していくのは厳しい。引退したばかりの選手のほうがメディアに起用されるから、仕事の量が年々減っていく。オレはYouTubeをほとんど見ないんだけど、知り合いのテレビ関係者が『手伝うんでやりましょう。再生回数が増えれば稼げますから』って言われて始めたんだ。1、2回目はそこそこ見られたけど、その後は再生回数が減っていった。そのテレビ関係者はオレに興味がなくなったのか、しばらく連絡を取っていない。こうやってフェードアウトするOBは多いと思うよ」

上原氏の「雑談魂」は登録100万人超

 多数あるプロ野球OBの番組の中で、人気を維持しているのが上原浩治氏、古田敦也氏、里崎智也氏のYouTubeチャンネルだ。チャンネル登録者数を見ると、上原氏の「上原浩治の雑談魂」が103万人、古田氏の「フルタの方程式」が90万人、里崎氏の「Satozaki Channel」が83万人。YouTubeの映像を手掛ける制作スタッフは、人気の秘訣をこう分析する。

「ゲストが豪華であることは当然ですが、視聴者の知りたいことに応えた上で他のYouTubeチャンネルとの差別化を図っている。上原さんのYouTubeチャンネルは、野球を詳しくわからなくても、雑談のようなエピソードトークでOBや選手たちの知られざる内面を楽しめる。古田さんは野球の技術のマニアックな部分を深掘りして、ゲストの魅力を引き出している。里崎さんは毎日のように動画を更新し、プロ野球界の旬の話題に触れ続けている。時に手厳しいことを言いますが、しっかりチーム事情を調べた上で提言しています。それぞれ独自の色があり、本気で取り組んでいる姿勢が見えます。YouTubeは誰でも発信できますが、片手間では通用しない世界ですから」

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立浪氏の次回の番組内容はなんと!