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負けられない理由ができた──。2年連続Bクラスからの逆襲を狙うヤクルトに相次いで悲しい知らせが届いたのは、沖縄・浦添での春季キャンプが始まってからのことだった。2月7日に衣笠剛球団会長兼オーナー代行が76歳で死去。19日には、球界きっての人気マスコットであるつば九郎を長い間支えてきた社員スタッフが永眠したと、球団から発表された。
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衣笠氏は2011年6月から、初優勝時の佐藤邦雄氏(1973~85年)と並んで球団最長となる足かけ13年にわたって社長を務め、その間にチームはセ・リーグ優勝3回、日本一1回。2023年3月に会長兼オーナー代行となってからも、スワローズに情熱を注ぎ続けた。
また「(つば九郎を)球団マスコットとして、ここまで育ててくれた功績に感謝と敬意を表します」と球団が追悼のコメントを発表した社員スタッフは、1994年のデビューからいわば一心同体だった「つば九郎の魂」のような存在。チームに多大な貢献をしてきたこの2人に対する弔いの意味でも、今シーズンはなんとしても勝たねばならない。
チームは2021年からのリーグ連覇の後は2年連続で5位に沈んでおり、単年契約で続投した高津臣吾監督も選手たちも「今年こそは」という思いは強い。スローガンのとおり「捲土重来(けんどちょうらい)」を期すために、最大の課題となるのはここ2年続けてチーム防御率リーグワーストの投手陣だ。
ヤクルトは、2022年のセ・リーグ三冠王で昨年も本塁打と打点の2冠を獲得した村上宗隆に代表されるように、打力にはもともと定評がある。その一方で、投手陣は昨年までの10年間でチーム防御率リーグ最下位が6回。ただし、残りの4回は優勝した2015年(防御率4位)、2021年(同3位)、2022年(同4位)を含め、すべてAクラス入りしている(リーグ2位の2018年はチーム防御率3位)。つまり投手陣が頑張れば、上位進出の可能性は大いにあるということだ。