シーズンでの先発23試合はサイスニード(昨年限りで退団)と並んでチーム最多で、9勝(8敗)は先発陣ではトップ。規定投球回には届かなかったもののチームで最も多い138回1/3を投げ、防御率3.19も10試合以上先発した投手の中ではベストの数字だった。

「1年間ローテーションで投げるっていうつもりでやってきて、そこができたっていうのは自分の中でも良かった点かなというふうに思います。いろいろと変化を恐れずに、いろいろと試していろんな人と相談して試せたかなっていうのは思うんで、そこら辺がうまくハマったところかなっていうふうには思います」

 それでも2ケタ勝利にあと1つ届かず、規定投球回にも4回2/3及ばなかった。だから今シーズンは自身初の2ケタ勝利と規定投球回到達を目指し、チームの現役投手では小川しか達成していない「15勝」を目標に掲げる。さらに「しっかりとチームを引っ張れる存在にならないといけないと思ってるんで。そういった覚悟を持ちながら、やっていきたいなというふうに思います」と「エース」と呼ばれる存在への意欲ものぞかせる。

 今春のキャンプでは新たな球種のチェンジアップ習得に加え、新人の頃から「最も自信を持って投げられる球」と話していたストレートに磨きをかけるべく取り組んだ。キャンプも折り返しに差し掛かった第4クールのシート打撃ではフォーク、カッター、カーブなどの変化球を交えながらストレートで3つの見逃し三振を奪い、高津監督に「制球も良くできてたし、変化球の切れも良かったですし、全体的に良かったんじゃないかなと思いますね。意図するところというか、どういう感じでカウントを取って、どういう感じで仕留めたいのかがすごく伝わってきました」と言わしめた。

 今シーズン、ヤクルトが3月28日からの開幕カードで対戦するのは、昨年のセ・リーグ覇者である巨人。東京ドームで行われるこの3連戦でいかに良いスタートを切れるかが重要だと、球団フロントも首脳陣も口を揃える。現時点では開幕投手は発表されていないが、昨年の吉村は巨人戦に4試合先発して完封勝利を含む3勝1敗、防御率1.32、うち東京ドームでは2戦2勝、14回1/3を投げて無失点と"無双“している。今年初めての対外試合となった2月20日の中日との練習試合(浦添)では2回を投げて4安打、1四球、1失点と課題を残したが、開幕投手の有力候補であることは間違いない。

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開幕投手候補は少なくないが…