14年に16勝5敗、防御率1.98を記録し、リーグ最多勝と最優秀防御率の二冠と沢村賞に輝いた金子はシーズン終了後、メジャー移籍の意思があることを表明したが、オフに右肘手術を受けたことなどから、12月24日、前出の4年契約でオリックスに残留した。

 翌15年、手術の影響で、シーズン初登板が5月下旬までずれ込んだ金子は、9月にも右肩不安で戦線離脱し、7勝6敗1ホールド、防御率3.19に終わる。オフに現状維持の年俸5億円プラス出来高でサインした金子は「期待に応えられなくて申し訳ないと言った。罪悪感と悔しさがある」と反省し、「1年間いい状態をキープできるようにしたい」と雪辱を誓った。

 だが、2年ぶりに開幕投手を務めた16年も24試合で7勝9敗、防御率3.83と、2年続けてパフォーマンスを下げる結果に。皮肉にも現状維持の年俸5億円は、黒田博樹(広島)の引退により、球界最高給となった。

「この2年間成績を出せていない分、期待に応えたい」と心機一転臨んだ17年は、チームトップの12勝を挙げ、年俸6億円で契約更改したが、これが最後の二桁勝利となった。

 4年契約最終年の18年は、登板17試合で4勝7敗、防御率3.87と過去6年間でワーストの成績に終わる。そして、減額制限(年俸1億円超の選手は40パーセント)を超える大幅減俸を提示されると、自ら自由契約を申し入れ、日本ハムに移籍したが、年俸は4億5000万円減の1億5000万円に大幅ダウンした。

 その後も年俸は下がりつづけ、日本ハム最終年の22年には年俸2000万円と、オリックス時代の最高額6億円の30分の1に減っていた。

 NPB史上最高のアップ率で話題を提供しながら、翌年まったく結果を出せずに引退となったのが、楽天時代の福盛和男だ。

 2009年、レンジャーズのマイナーで開幕を迎えた福盛は、古巣・楽天への復帰を希望するも、前年のメジャー移籍の際にしこりを残した野村克也監督は「『頼むから残ってくれ』と慰留したのに、何で今さら」と獲得に消極的だった。

次のページ
1036%アップからわずか1年で引退?