だが、6月11日、福盛がスーツ姿で謝罪に訪れると、「前向きに考えると言っておいた。オレは情にもろいからな」と軟化し、テストを経て復帰入団が決まる。
当時は年俸1500万円と報じられたが、実は、シーズンの成績で来季の契約内容が決まる変則契約により、野球協約が定める参稼報酬最低額の年俸440万円からのスタートとなった。
同年、福盛はリリーフエースとして7勝1敗10セーブ4ホールド、防御率2.18の好成績を記録し、球団創設以来初の2位とクライマックスシリーズ(CS)進出に大きく貢献。12月17日の契約更改では、440万円から5000万円に大幅アップし、1036パーセントのアップ率は、94年オフのオリックス・イチローの900パーセントアップを更新する歴代トップとなった。ただし、レンジャーズでは年俸150万ドルだったので、100万ドルダウンというややこしい話になった。
「アメリカから帰ってきましたが、自分ではいい決断だったと思っています。(来季については)毎年競争ですから」と闘志を新たにした福盛だったが、翌10年は5月に右肘を手術し、登板2試合の0勝2敗、防御率45.00と急降下。そして、9月に「あと3年やりたかったが、肘が言うことを聞かない」と現役引退を発表した。(文・久保田龍雄)
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