「常に『今日のライブが最後になってもいい』『この作品が最後でいい』というつもりで生きてる」と語るTOSHI-LOWさん(撮影/品田裕美)

「八百屋は野菜の話しかしねえんだな? 土建屋は工事の話しかしないのか?」って思うんだよね。バンドマンだろうが何だろうが、全員が社会の中で生きてるわけで、政治や行政の仕組みはみんなに降りかかってくる。それに注文言うのは当たり前なんだよ。民主主義は、全員参加することが大前提だし、「文句言うな」というヤツらは奴隷か封建社会からのタイムトラベラーだと思ってる(笑)。まあ、俺はどっちかっていうと無政府主義なんだけど(笑)。

――最後に、この先の音楽活動について聞かせてもらえますか?

 常に「今日のライブが最後になってもいい」「この作品が最後でいい」というつもりで生きてる。そのためにはどうしたらいいか、自分たちが後悔しない基準とはどういうものなのか。そこに人生をつぎ込むことができれば、どこで終わりが来てもいいと思ってる。一方で10年後くらいのことは考えていて。10年先までバンドをやるには自分たちの健康も関わってくるし、10年後、聴くに堪えるものを作ることも大事になってくる。いいものはいつまでたってもカッコいいし、俺も77年のパンクロックを聴いていまだに「すげえな」と思うし。自分たちも願わくばそうでありたいと思ってる。なので歌詞に時期的な“ポケベル”とか“ピッチ”とかはなるべく使わない(笑)。

――(笑)。“今”と“10年後”の両方を見据えている、と。

 そうだね。20年後ってなると、たぶん情勢や身体も変わり過ぎてるだろうし、自分がどうなるかまったくわからない。だけど10年後だったら、「こうありたい」とういうものに近づける準備ができるので。

(取材・文/森 朋之)

TOSHI-LOW (BRAHMAN)/1995年の活動開始以来、パンクシーン/バンドシーンで強烈な存在感を放ち続けるBRAHMANのボーカリスト。OAUのブズーキ、ボーカルも務める。バンド活動と並行し、国内各地の被災地の復興支援を目的としたNPO法人「幡ヶ谷再生大学復興再生部」の代表、さらにキャンプイベント「New Acoustic Camp」を主宰するなど、その活動は多岐にわたっている。BRAHMANとしては、2025年に結成30年を迎え、2月26日には7枚目のアルバム『viraha』を発表した。

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