BRAHMAN のTOSHI-LOWさん。バンド活動と並行し、国内各地の被災地の復興支援を目的としたNPO法人「幡ヶ谷再生大学復再生部」の代表をつとめるなどその活動は多岐にわたっている(撮影/品田裕美)

――TOSHI-LOWさんはそういう経験をずっとしているわけですよね。

 全員が全員すばらしいわけではないし、いいところもあればダメなところもあるのが人間だから。自分もそうだからね、もちろん。SNSでもいろんなことを言われるけど、もっと情報開示請求がしやすくなったら、どんどん開示しようと思ってるんだよ。意外と近い人間が(否定的な意見を)書いてる可能性もあるだろうし、それをリスト化して、「会ってるときはこう言ってるけど、SNSでは全然違うんだな」って眺めるだけ。そういう遊びを将来やろうと思ってる(笑)。

――(笑)。楽しめますかね、その遊び……。

 楽しめるでしょ。(筆者に向かって)「いいアルバムですね」って言ってるけど、裏では「ゴミみたいなアルバムだな」って書いてるかもしれないし(笑)。それならそうで「人間って奥深いな」って思うじゃん。よく「信頼してたのに裏切られた」っていうけど、人間は変わるから。お金が必要になったり、違う価値観を求めるようになったりね。人なんてそんなもんだし、恨む必要なんてないよ。俺だって「あいつは変わった」と思われてるかもしれないし。

腕っぷしがモノを言う時もあるし

――バンド仲間はもちろんですが、復興支援の活動を通して、各地に信頼できる仲間も増えたのでは?

 そういう人もいるけど、ボランティア同士もいろいろあるからね。みんなが仲いいわけではないし、社会からドロップアウトして、やることがなくてボランティアに来てる人もいるので。散々迷惑かけられて腹が立つことも実際あるけど、そういうときは腕っぷしがモノを言う時もあるし。

――ええっ?

 体が強いって大事だから(笑)。何事もそうだけど、いいところもあるし、悪いところもある。そのなかで、どうやったら出来るだけ良い方向に進めるか? それはどんな手段なのか? その中のバランスはいつも考えてる。

――ミュージシャンが社会的な活動をすると、「音楽だけやってろ」という意見が出てきますが、そのことについてはどう思いますか?

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