TOSHI-LOW (BRAHMAN)/BRAHMANは、2025年に結成30年を迎え、2月26日には7枚目のアルバム『viraha』を発表した(撮影/品田裕美)
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 BRAHMANのボーカリスト、TOSHI-LOWさんへのロングインタビュー後編をお届けする(前編はこちら)

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――アルバムに収録されている新曲「charon」のタイトルは、死者の魂を舟に載せて黄泉の国に運ぶ、ギリシャ神話の登場人物だとか。この曲を聴いて、2023年に亡くなったチバユウスケさんの楽曲「シャロン」を思い出したのですが……。

 そう言われたら、そうね。「charon」で使ってるコード進行を作って弾いてるときに、「なんかチバっぺえな」と思ったの。歌詞を書いてるときも頭から離れなくて、バーチーが言いだしそうな言葉だなぁってカロンを書いて。かなり正直に書いた曲だと思うね。あの人は自分に正直な人だったしね。飲んでるときに大モメしてるところも何度も見てきたし巻き込まれたけど、でもどこか愛嬌があるというか、憎めないんだよ(笑)。

――「笛吹かぬとも踊る」の〈かすれた嘆き声 君呼ぶよ 聞こえる〉〈行くな行くなは行けよの合図〉という歌詞も印象的でした。この曲で歌われていることは、全国の被災地に足を運び、復興支援の活動続けているTOSHI-LOWさんと重なるな、と。

 示す矜持だよね、それは。そういうことが起きたときに、逃げ出してしまうのか、それともちゃんと顔を突き合わせようとするのか。「自分はこう生きる」というのを記しておけるのは、歌詞の好きなところでもあるので。もちろん受け取り方はいろいろだし、「俺は全然そう思わない」という人もいる。いろいろふるいにかけてもいいと思ってるし。

TOSHI-LOWさん被災地の復興支援の活動も続けている(撮影/品田裕美)

――復興支援もそうですが、社会的なアクションを起こすと必ず賛否両論が起きますからね。

 昨今の能登の状況もそうじゃん。やりたかったらやればいいだけなのに、現地に行こうとする人間の足を引っ張る奴が必ずいるので。行きたければ行けばいいだけなんだけどね。迷惑がかからないように、役に立てるやり方は現地では必ずあるはずなので。そうしないで、行動している人を叩くっていう……ろくでもなさ過ぎて(笑)。

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腕っぷしがモノを言う時もある