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國友さんは「あんな独特のやり取りが初めの頃は新鮮で楽しかった。ああいう人って地元で相手にされず、観光客ら外の人との会話を楽しんでいるので、それもまちの奥深さかな」と話した。
こまごまとしたことにほとほと疲れたとき、このまちに戻りたくなるという。全部投げだし、簡易宿所の給料だけで何とか過ごした日々が懐かしくなる。「受け入れる、変わりゆく、そんな風通しのよさが西成でもあると感じる。こんな自分も受け入れてくれた」
このまちの底知れない懐の深さにひかれている。
國友公司さんの釜ケ崎滞在78日間
・2018年4月1日 労働者が仕事を求めて集まるあいりん総合センターへ。心配になり、手配師に付いていかず。1泊1200円の簡易宿所に宿泊
・4月6日 土木会社の誘いに応じ、3食付き1日3千円の寮へ。個室で食事はおいしいが、夜にナンキンムシに悩まされる。日給1万円で10日間の労働契約。翌日から兵庫県尼崎市で解体作業
・4月27日 手配師に誘われ、疲れ果てた感じの人に生活保護の受給を促し、事務所に連れてくる仕事に就く。自分に合わず、2人に声をかけただけで辞める
・5月5日 泊まっていた簡易宿所の従業員に。清掃とフロント番で、日給5500円
・5月26日 26歳の誕生日。帰るタイミングを見失う
・6月10日 退職。漫然と一日を過ごす生活保護の長期滞在者を見て疑問を感じる
・6月17日 関東に戻る
《現在発売中の『西成DEEPインサイド』では、日雇い歴45年の「アシュラ」氏、炊き出しを続ける「ワルビッシュ」など、西成に生きる人々の話を収録しています》
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まちのリアルに迫ったノンフィクション。
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西成の最重要キーワードをビジュアル付き解説!
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