転職エージェントが親身なわけ

 桜井さんによると、職場に違和感こそ抱いたものの、「本当にやりたいこと」がはっきりしない若者は少なくない。

「目先の利益ではなく、何をすることに喜びを感じるのか。さらに報酬面、勤務条件など、仕事選びの軸や優先順位をきちんと自己分析しないまま転職すると、また短期離職しやすい。企業からは『すぐに辞めてしまう人』と見られ、以後の転職が難しくなってしまいます」

 転職エージェント側にも短期離職者を減らしたい切実な理由がある。転職が決まると、エージェントは企業から報酬を受け取る。しかし、一定期間経たずに離職すると、報酬の一部を返却しなくてはならない。「転職希望者の信用も、企業からの信用も失ってしまう」という。

 転職にある種の慎重さが求められる現実はいつの時代も変わらない。だからこそ、新社会人は早々に備えておきたいのかもしれない。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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