初めてサインを貰ったプロ野球選手と8年後にチームメイトになったのが、日本ハム・五十幡亮汰だ。

 2013年オフ、当時中学3年だった五十幡は、トレーナー同士のつながりから、日本ハム入団2年目のオフを過ごしていた上沢直之と、上沢の母校・専大松戸のグラウンドで1日限定ながら合同練習する機会に恵まれた。

「プロに行きたいんでしょ」と上沢に声をかけられた五十幡が「はい、プロ野球選手を目指してます」と答えると、「この世界で一緒にできたらいいな」と励まされ、直筆のサインをプレゼントされた。プロ野球選手のサインを貰ったのは、これが初めて。

 以来、上沢の言葉を励みに、佐野日大、中大で野球を続け、2020年のドラフト2位で日本ハム入り。運命の糸に手繰り寄せられるように、上沢とチームメイトになった。

 そして、23年7月28日のオリックス戦、9番センターで出場した五十幡は、4回2死満塁、山下舜平大から2点タイムリーを放つなどの活躍でチームの勝利に貢献。8回無失点で7勝目を挙げた上沢とともに、プロ3年目で初のお立ち台に上がった。

 投、打の主役として思いがけず実現したツーショット。中学時代に一緒に練習した取って置きのエピソードを披露する絶好の機会だったが、五十幡は「緊張し過ぎて」言えなかったという。

 今季は日本球界に復帰した上沢がソフトバンクに入団。ソフトバンク戦では、両者の対決シーンも見られそうだ。

 最後は偶然がさらなる偶然を呼んだ摩訶不思議とも言うべきご縁を紹介する。

 2016年からリーグ3連覇をはたした広島は、丸佳浩(現巨人)、菊池涼介、田中広輔ら1989年生まれ(1990年早生まれも含む)の“89世代”が主力だった。

 チームが25年ぶりVを達成した16年にリーグ最多の16勝を挙げたエース・野村祐輔と16年から三塁手のレギュラーになり、いぶし銀的な名脇役として3連覇に貢献した安部友裕も同世代だが、二人とも同じ6月24日生まれ。これだけでも滅多にない偶然なのだが、話はそれだけでは終わらなかった。

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野村と安部を結ぶ“とてつもない偶然”とは?