まさに「隠したもん勝ち、使ったもん勝ち」だと、岡野さんは言う。
そんな岡野さんも元夫から逃げ切りをされた苦い経験がある。
「元夫は、追徴課税が5千万円もくるほどの人でした。こんなに稼いでいたのかー!と思ったけれど、最後の最後まで彼の貯金通帳が見当たらなかった。隠していたんです」
隠されたら見つけることができないのがほとんど。なかには通帳を職場に持って行く人もいるという。岡野さんはこう助言する。
「皆さんご存じの通り、離婚時には夫婦が婚姻期間中に築いた財産を公平に分ける『財産分与』が行われます。しかし財産分与は、配偶者に財産を隠されてしまったら難しくなる、ということをしっかり自覚しておくべきでしょう。ポイントは、仲が悪くないときから財産の状況を確認しておくこと。離婚を考えている方は、早い段階から配偶者の預貯金や資産を把握しておきましょう」
「いや、預かっているだけよ」
もしも夫の通帳を持っていて、離婚を考えるようになったら、お金を定期的におろしておくのもいいという。
「何か言われたら、『いや、預かっているだけよ』と言うことです。二人のお金なんですから。あくまでも定期的に少しずつおろしておきましょう。一気におろさないことも重要です。一度にたくさんおろすと、それなりの理由が必要になるからです。調停や裁判になったときに、さかのぼって何に使ったか追及されることもあります。使ったものがあれば、きちんと領収書をとって説明できるようにしておきましょう」