「他にするべきことはあるのでは」
セ・リーグの球団職員は、別の観点から異を唱える。
「7イニング制を導入した場合、選手の数が減るのでコストカットになるかもしれませんが、球場でお客さんが使う飲食代やグッズの収益は減少します。本当にお客さんファーストの施策かという点でもどうでしょうか。7回まで大量失点でリードされていても、8回以降の猛攻で大逆転するドラマチックな展開を何度も見てきましたし、コスパばかりを追い求めると、野球の本質が失われてしまう。攻守交代を早くし、試合中のイベントを少し削るなど、時間短縮に向けて他にするべきことはあると思います」
北海道の民放テレビ関係者は、「新庄監督は7回制の導入を本気で目指しているわけではないように感じます」と指摘した上で続けた。
「本当に必要なテーマなら監督会議の中で提案しているでしょう。新庄監督は日本ハムだけでなく、球界全体のことを考えている。上沢の件を含め、忖度せず積極的に問題提起することで、現状に甘んじず、野球離れを防ぐために、もっと危機感を感じて球界を改革していかないと、という意思を感じます」
新庄監督の発言がきっかけで議論が沸き起こり、プロ野球ファンの中では7イニング制に反対の意見が多い状況も把握できた。新庄監督は、野球についてこんな議論が盛り上がることを、案外喜んでいるかもしれない。
(今川秀悟)