泉:「君にはまだやる仕事があるんだ」「君の退学届は受理してない」と言われて、戻ったんです。
大宮:学部長は泉さんの活動を認めてたんですか。
泉:立場は大学側だったけど、その人は、心ある人やったんですよ。
大宮:なるほど、なるほど。
泉:学生運動だけじゃなくて、自分は企画屋さんやったね。駒場祭に合わせて、寮祭をゼロから立ち上げたり。合コンがまだはしりの時代に、100対100合コンを企画したり。週刊朝日がグラビアを撮りに来て、「ばかの東大生」って書きましたね。加藤登紀子さんの母校での初のコンサートも企画して、加藤さんを口説きに行きました。
大宮:この対談で加藤さんが東大でのコンサートについて話されていました。誰かが呼んでくれたのよって。
泉:駒場寮で「ひとり寝の子守唄」をギターで弾いてもらって。もう、染みる声で、涙出たね。あとは、マージャン好きな教授を集めて、学生と教授で72時間マラソンマージャン大会とか。テレビ番組が取材してくれたんだけど、親は「大学行って何やっとるねん」と怒り心頭でした。
大宮:(笑)。
大宮エリー(おおみや・えりー)/1975年、大阪府出身。99年、東京大学薬学部卒業。脚本家、演出家などを経て画家として活躍。クリエイティブのオンライン学校「エリー学園」「こどもエリー学園」を主宰。瀬戸内国際芸術祭(岡山県・犬島)で「光と内省のフラワーベンチ」を展示
泉房穂(いずみ・ふさほ)/1963年、兵庫県明石市出身。兵庫県立明石西高校卒。87年、東京大学教育学部卒。NHKディレクター、石井紘基氏の秘書などを経て、弁護士に。2003年、衆院議員初当選。社会福祉士の資格取得。11年から明石市長。23年4月末で政治家引退
※AERA 2023年4月17日号