生涯未婚率が上がったことで、独身でいることが珍しくなくなり独身生活に満足している人が増えている。しかし、旧来型の考え方を押し付けられ心ない言葉に傷ついたという人も。AERA 2025年1月20日号より。
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AERAが昨年12月にインターネット上で実施したアンケートでは、充実した日々を送る独身者からの回答が寄せられた一方で、「心ない一言で傷ついたこと」も具体的な経験が多く綴られていた。
「見知らぬ人から声をかけられる際に『奥さん』と呼ばれたり、子どもがいないと何かが欠けている人のように言われたり。『あなたは子どもいないからわからないと思うけど』と言われたことも」(福岡県・公務員・51歳)
「結婚していない人は信用できない、人並みの苦労を避けたズルい人、子どもを産まなかったのは社会貢献していない……などと言われてきた」(長崎県・医療関係・67歳)
独身が増えているのに、まだまだはびこる旧来型の価値観。女性の場合、出産というリミットが伴うものと向き合わざるを得ないときに、心に負担がかかるケースが多かった。
「子どもを産む経験をできなかったのは、残念かなと思う」
そう話すのは、都内在住の制作会社勤務の女性(49)だ。子どもを産み育てることが女性の最大の幸せとは限らないと思ってはいるが「女として生まれてきたからには」という考えは、これまで何度も脳裏をよぎった。
27歳の時、2年ほど交際した年上の公務員男性と婚約したが、女性側から破談にしてしまったという。
「『マリッジブルーだったのでは?』と言われることもありますが、単純に結婚はまだ早いと思ってしまって。何より、その人と家庭を持つイメージが最後まで持てませんでした」
その後も機会があれば結婚したいと考えていたが、なかなか縁には恵まれなかった。仕事柄、国内外の出張が多く、繁忙期には仕事一辺倒の生活になることは否めない。だが、「出産を希望する気持ちが、仕事より勝らなかったから今に至っているのだと思う」と客観視する。