日記の達人が明かす、脱・三日坊主の秘策 心と体が得する話

 三日坊主の代表格といえば日記。せっかくの新世紀元年、今度こそはキチンと付けてみたい。三日で終わらせないコツはあるのだろうか。言語表現の授業で「日記の達人塾」を開いている、向後千春・富山大教育学部助教授(心理学)は言う。

 「長続きのコツは動機付けですね。それには読者を想定する必要があります。自分の記録を自分だけが読むのが一般的な日記ですが、『人に読んでもらう』日記があってもいい。僕の子どもはまだ幼稚園にも入りませんが、大きくなったら読ませようと思っています。また、自分の死後、遺族に読んでもらうのもいいでしょう。読者がいるという動機付けがあれば、長続きできます」

 向後助教授が勧めるのが、インターネットのホームページ上に公開する「Web日記」だ。

 「不特定多数の読者から反響があるのが楽しいですね。ただ、個人が特定されるような書き方や、中傷にならないようにするなど、注意は必要です。恨みつらみを書くなら、昔ながらの日記にしましょう」

 木村晋介弁護士も、日記の効能を語る。

 「私は遺言を財産分与などの実利的なことだけでなく、遺族にも楽しんでもらえる自分史として書くことを勧めています。そのほうが遺族も納得できる。それには日記がいい。日記を自分史のネタ帳だと思って続ける。スタートはいつでもいいんです。『自分史遺言』のいい手がかりになる。日記の一ページでも署名、捺印してあれば、立派に遺言状として認められます」

 「10年日記」も三日坊主向きかもしれない。発売元の通販会社「カタログハウス」によれば、

 「一年でもできないのに、十年といえば気が遠くなるでしょうが、なにしろ十年です。一日の分量は百字程度しかありません。これなら三日坊主でも大丈夫。献立だけでもいいし、俳句を一日一句したためてもいい。十年やれば傑作選もできます」

 価格も四千八百円だから、年単位で計算したら安上がりかもしれない。

 さて、向後助教授が三日坊主諸氏へアドバイス。

 「日記は最初の一カ月が苦しく、二カ月がボーダーで、それを超えたら習慣化します。あまり義務感にかられず、『土日は休もう』くらいの気持ちでいきましょう」

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