
国際試合でも華やかな実績は残せていない。21年に開催された東京五輪では侍ジャパンのメンバーとして金メダルを獲得したが、青柳自身は不慣れな救援登板ということもあって2試合登板、防御率27.00と苦しみ、準決勝以降は登板機会がなかった。
前出の阪神を取材するスポーツ紙記者は「今まで逆境を何度も乗り越えてきましたし、野球人生を賭けた挑戦になると思うので、すぐに夢をあきらめて日本球界に戻ってくることはないと思います。下馬評を覆して、メジャーで活躍してほしいですね」と期待を込める。
青柳なら「有原式FA」でも問題なしか?
青柳は米国での活躍しか考えていないだろうが、実は国内球団からの人気は高い。青柳が来季も阪神でプレーし、1軍で稼働すれば国内FA権を取得していた。在京球団のスコアラーは「個人的な見方ですが、青柳がFA権を取得して来オフに行使していたら、複数球団が獲得に名乗りを挙げたと思います。どの球団も先発で稼働する投手は1人でも多く欲しいですから。昨年、今年と苦しみましたが、直球の球威を取り戻せば、まだまだ1軍の先発ローテーションで活躍できる。来年中に日本球界復帰となれば争奪戦になるでしょう」と高い評価を口にする。
FA権を取得せずにポスティングシステムでメジャーに挑戦し、1~2年後に日本球界復帰となれば、「有原式FA」と批判される懸念がある。日本ハムからポスティングシステムで米国に渡ったが1年で挑戦に終止符を打ち、今オフにソフトバンクに入団した上沢直之の決断が議論を呼んでいるところだ。ただし、スポーツ紙デスクは「青柳の場合は早期に日本球界復帰になったとしても、ソフトバンクに入団した有原航平や上沢とは状況が異なるのでは」と指摘する。
「阪神は村上、才木浩人、大竹耕太郎、高橋遥斗、伊藤将司、西勇輝、ビーズリーと先発陣が充実している。若手成長株の及川雅貴、門別啓人も控えていますし、青柳が絶対に必要な戦力というわけではない。故障者が出るなど不測の事態が起きることも考えなければいけませんが、米国から日本球界復帰を決断した際に復帰のオファーを出す可能性が高いとは言えません」