肩の強さは矢野や吉川には劣るものの、守備範囲の広さに関しては全く引けを取らず、外野に抜けそうな打球に楽々と追いつくことも多い。プレーのスピード感も抜群で、軽率なミスが少ないのも特長だ。大学時代に潰瘍性大腸炎を患い、大腸を全摘出する手術を受けた影響もあって体力面には不安が残るが、昨年ほぼ1年間一軍でプレーし続けられたのは大きなプラスである。課題の打撃面を改善させて、来年は規定打席到達を目指してもらいたい。

 パ・リーグの内野手で今後が楽しみなのが大里昂生(オリックス)だ。東北福祉大では4年春に三塁手としてベストナインを受賞しているが、目立った成績を残したのはこのシーズンだけであり、2021年の育成ドラフト3位でのプロ入りだった。それでも昨年4月に支配下登録を勝ち取ると、今年は夏場以降に一軍に定着。36安打、2本塁打を放って飛躍を感じさせるシーズンとなった。

 特筆すべきは内野のあらゆるポジションを高いレベルで守れるという点だ。今年もファーストで5試合、セカンドで25試合、サードで8試合、ショートで4試合先発出場している。特にセカンドを守った時の守備範囲の広さと、サードでの打球に対する反応の良さを示すプレーが多く、守備面での貢献度は非常に高かった。ユーティリティプレーヤーとしても十分魅力的だが、打撃や走塁面を伸ばして来季はセカンドやサードでレギュラー争いに加わることを期待したい。

 外野手は守備よりも打撃が重視されて起用されることが多いが、その中で守備面で楽しみな選手としては丸山和郁(ヤクルト)を挙げたい。前橋育英では2年夏から3季連続で甲子園に出場し、3年夏には大会タイ記録となる8盗塁をマーク。投手としても活躍を見せ、U18侍ジャパンにも選出された。明治大では怪我に苦しんだものの、4年時は春秋連続でベストナインを受賞し、2021年のドラフト2位でヤクルトに入団。3年目の今年は96試合に出場して61安打とキャリアハイを大きく更新する成績を残した。

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丸山の“守備の強み”は?