今年のプロ野球界も様々な選手が話題となったが、守備で圧倒的な存在感を示したのが矢野雅哉(広島)だ。ショートのレギュラーに定着すると、抜群の守備範囲の広さと驚異的な強肩でスーパープレーを連発。初のゴールデングラブ賞にも輝いた。ゴールデングラブ賞については矢野以外にも山本祐大(DeNA・捕手)、吉川尚輝(巨人・二塁手)、周東佑京(ソフトバンク・外野手)など、今年が初受賞となる選手も多かったのが、まだまだ注目度は高くないものの、高い守備力が魅力の選手は少なくない。そんな今後の飛躍が期待できる守備の名手候補を探ってみたいと思う。
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まず捕手で挙げたいのが矢野と同じ広島の石原貴規だ。2019年のドラフト5位での入団ながら、2年目の2021年には早くも一軍で60試合に出場。その後2年間は二軍暮らしが多かったが、今年は開幕から一度も二軍降格することなく、キャリアハイとなる28安打を記録した。速くて正確な送球が持ち味で、今年は4割を大きく超える盗塁阻止率をマークしている。
またキャッチングやフットワークなども確実にレベルアップした印象を受ける。チームの正捕手である坂倉将吾も成長を見せているが、守備面の安定感については石原に軍配が上がるのではないだろうか。近年は捕手を固定せずに併用するケースが目立ち、坂倉も打撃を生かしてファーストで起用されることも多いだけに、来年以降さらに石原が成績を伸ばすことも十分期待できるだろう。
セ・リーグの若手内野手ではまず名前が挙がるのが田中幹也(中日)だ。東海大菅生では2年夏に1番、ショートとして甲子園に出場し、チームのベスト4進出にも貢献。亜細亜大では入学直後からセカンドのレギュラーに定着し、2学年上の矢野と二遊間も組んでいる。その後は病気に苦しんだ時期もあったが4年時にはショートとしてチームを大学選手権優勝に導き、大会のMVPも受賞した。プロ1年目の昨年は怪我に苦しんだものの、2年目の今年は開幕からセカンドのレギュラーに定着すると度々好プレーを披露。最終的に二塁手として103試合(先発80試合、途中出場23試合)に出場し、守備率.991という好成績を残した。